2017年9月29日金曜日

巣内の様子

↓1群は弱群だとの情報がある。天井が見通せるから巣が一方に偏って作られている。昨日はハチたちがあまり巣の外に出てこないので心配したが、今日は相当数が表へ出て防御網や巣箱の側面を歩き回っていたので少しホッとした。この群は性格が慎重なのかもしれない。


1群の巣内

↓2群。こちらは前回の記事に書いたように継箱をしたが、その継箱がハチたちでいっぱいで、太いハチの鎖が垂れ下がっている。一瞥で分かるように相当強壮な群であるとのこと。頼もしい限りだ。


2群の巣内 追加した継箱から太いハチの鎖が垂れ下がってい

2017年9月27日水曜日

またニホンミツバチがやってきた

ニホンミツバチがまたやってきた。逃去群が待ち箱に入居してくれたわけではない。

当方が参加している養蜂同好会の鹿島みつばちプロジェクトから申し出があった。セイヨウミツバチと同じ蜂場に和バチを置くと盗蜂(盗蜜)の恐れがあるので、和バチ2群を預かってもらいたいとのこと。いうまでもなく、飼っている和バチに逃げられて落胆している老人に、再び生き甲斐を与えようとの温情である。いちもにもなく引き受けることにした。

昨日の夕方、ハチたちが巣に戻る頃をみはからってPJの蜂場から我が家の蜂場まで同好の士の車で運んでもらった。洋バチと比べると、和バチの巣は脆弱で巣落ちしやすい。移動には細心の注意を要する。巣落ちすると多くのハチがミツに溺れ死ぬことになるし、巣箱の移動は終わっても、そのあと逃去される可能性が大きくなる。

 
PJの蜂場から…………                当方の蜂場へ仮置き

こちらの蜂場に2つの巣箱を仮置きしたころにはとっぷりと日が暮れていた。細かな作業は翌日にすることにして、無事に巣箱の移動が終わったことでほっとする。

本日早々、巣箱を本格的に設置しようと巣箱に近づくと、もう数匹のオオスズメバチが左側の巣箱に取り付いていた。捕虫網で捕捉しようとしたが、彼女らはすでにここを自分たちの餌場と認識しているらしく、猛然とこちらに攻撃を仕掛けてきた。大きな目玉を真っ直ぐこちらに向けて迫ってくるオオスズメバチを目の当たりにするのは恐怖だ。個体数が少ないのでなんとか鎮圧することができたが、あまり楽しい経験ではない。


オオスズメバチの脅威が去ると湧き出すようにハチが活動し始めた

螺旋アンカーで支点を取りロープでしっかり巣箱を固定した。

 
螺旋アンカーとロープでしっかり巣箱を固定

しばらくハチが落ち着くのを待って巣内を撮影してみると、左側の巣箱はすでに満杯で、上から3段目までハチで一杯になっていることが分かった。

 
自動フォーカスではぼやける              接写モードで撮ると…………

すぐに1段継箱をすることにした。

 
左側の巣箱に1段追加

生き甲斐、復活。明日からスズメバチ対策に本腰を入れねば。ははは。


2017年9月23日土曜日

ニホンミツバチの巣の末期

気は進まないが、放棄されたのちのニホンミツバチの巣の末期を記録しておこう。

 
9月1日 逃去直後

↓残留バチは居るが左側の巣板にうっすらと白いものが見える。スムシが巣を張りだしたのだ。

 
9月4日 左の巣板からスムシの進攻が始まる

↓やがてスムシが巣がはっきりと見えるようになる。

9月7日 スムシの巣がはっきりと見える

↓あっというまに巣は変容して塊となり、ハチたちは右側に追い詰められてゆく。ハチの体色が黒くなっている。

 
9月11日 ハチたちは追い詰められた

↓もうハチたちは消滅した。巣板もほとんど原形をとどめない。このようにハチの巣を溶かしてしまうのはスムシの分泌する酵素だろうか。右の壁に滴るのは巣房が崩れて滴り落ちた蜜のようだ。白い蛾がスムシ(ハチノスツヅリガ)の成虫。

2017/09/24追記 巣門を観察していると、この段階でもニホンミツバチの出入りがある。盗蜂(盗蜜)である。出入りするハチたちはこの巣で生まれたハチではない。他のコロニーのハチがこの巣に残された蜂蜜を蜜源とみなしているのだ。

 
9月13日 ハチの姿は見えない

↓巣内を撮影するため扉を開けると、巣のデブリが落ちていた。蜜が滴るので内部の撮影は諦めた。白い蛆がスムシの幼虫。

 
9月18日 ハチの巣のデブリ

↓追記2017/09/24 網底の裏に見えるのはオオスズメバチ。巣の下は解放空間だから、匂いをかぎつけて底側から侵入し滴る蜜を採集しているのだろう。

 
9月20日 巣底の裏にオオスズメバチ

↓デブリを取りだして内部を撮影。まだ巣の塊が残っている。

 
9月20日 まだ巣の塊が残っていた

翌9月21日にはすべての巣が落ちた

デブリを巣内から取りだして、巣のそばに置いた。まだ中に蜜や幼虫の遺骸が残っているのかオオスズメバチがさかんに飛来してせせっている。






2017年9月15日金曜日

オオスズメバチの執拗な攻撃

数日留守をしてニホンミツバチの巣箱を見に行った。もはや巣門にミツバチの姿は見えず、巣内はスムシ(ハチノスヅヅリガ)の巣窟と化している。経過観察のために写真は撮っているが公開するに忍びない。

しかし、オオスズメバチの来襲は止まない。飛来するオオスズメバチの行動を見ていると、まず巣箱の周囲を一巡してから、防御用のトリカルネットの特定の場所へ止まる。

 
飛来するオオスズメバチはどれもほぼ同じ場所にとまる

オオスズメバチは餌場(ミツバチの巣)を見つけると何回か飛来したのちに、確実な餌場についてはファンデルフェヒト腺フェロモンを腹部体節末端の腹側から噴射してマーキングする(ミツバチのナサノフ腺フェロモンと類似の働きをする)。すると、そのフェロモンが仲間を呼び寄せて集団攻撃が開始される。通常、単独で飛来したオオスズメバチは人が近づいても攻撃してくることはない。しかし、いったんその場所がマーキングされると、自分の巣に対するのと同様に接近するものに攻撃反応を示すようになる。だから、ミツバチの巣箱に数匹のオオスズメバチが集まって行動しているときは、うっかり近づくと危険だ。

同じ場所にオオスズメバチが止まるというのは、留守のあいだに、わがニホンミツバチの巣はすでにマーキングが終わった証左となる。だから、巣内にハチはいなくてもオオスズメバチは執拗に飛来する。巣箱の脇に置いた粘着トラップはすでに満杯になっていて、すぐに交換したが、たちまちこのありさまになった。



雑談

ニホンミツバチはスズメバチに対していくつかの防御行動をとる。なかでも最近、こんな行動が報告されている。

「最初に斥候としてやってくるオオスズメバチが去った直後に、ニホンミツバチが植物から齧り取ってきた葉や芽、花弁を巣の入り口に塗る付けること、さらにその植物の情報を迅速に伝えるために、普段は踊らないはずの入り口で、ダンスを踊ることを発見しました。他のキイロスズメバチやコガタスズメバチではこれらの行動は確認されず、オオスズメバチに対する特異的な防御行動であると考えています」。『日本みつばちの会だより』2017年5月号の「藤原愛弓氏 講演要旨」より。

固定的と思われる天敵に対する防御反応にもこうした進化らしい行動の変化が現れるのだろうか、あるいはたんにこれまで気づかなかっただけか。

2017年9月7日木曜日

スムシの進攻

恐れていたことがおきた。スムシの進攻が始まったようだ。左側の巣板の間にクモの巣が張ったように見えるのはスムシの巣だ。スムシは、ハチノスツツリガという白いガの幼虫で、ハチの巣を食い荒らす。

 
左からスムシの進攻が始まった

スムシは巣内に必ずいるものだが、群が健全なあいだはハチたちが巣房への侵入を防いでいる。しかし、このように群が弱体化するとハチに防御する余力がなくなってしまう。これからはスムシの巣がどんどん増えて巣内にスムシが跋扈することになる。

この様子だと働きバチ産卵によってオスバチを育てるひまもなく群は消滅するかもしれない。

2017年9月4日月曜日

その後のニホンミツバチ

��年半楽しませてもらったニホンミツバチは去った。どこかに居心地の良い木の洞を見つけたか、あるいは、だれかの蜂場の待ち箱に逃げこんだか。いまにして思えば逃去の原因について、心当たりがなくはないが、それは今後の参考とするとして、ハチたちが快適な生活を続けていることを願っておく。

逃去群に置き去りにされて残ったハチはいまでもそのまま生活を続けている。現在は、巣箱の段数を減らして、7枚の巣板のある最上段と空洞の2段の3段構成になっている。いまでもときどき、3段目の扉を開けてカメラを差し込み巣内を観察している。


3段構成にした巣箱

 
まだ結構ハチが残っている

女王フェロモンの抑制から解かれた働きバチはもうじき産卵を始める。やがて働きバチは体色が黒くなってテラテラと光り出すそうである。そして、20日もすると、働きバチの卵から孵化したオスバチが増え出すだろう。いずれもまだ話しに聞いただけなので、これから実体験することになる。

空しい世話ではあるが、蜂場に通っているといろいろなことが起きる。

巣箱の段数を減らそうと屋根を取り外したときだ。最上段の上桟の上に瀕死のキイロスズメバチが横たわっていた。トリカルネットをくぐりぬけ、ここまで上がってはきたものの、あえなく返り討ちにあったらしい。それにしても、数の少なくなったハチたちがまだ闘争本能を失っていなかったことに感激した。

 
瀕死のキイロスズメバチ よくもここまで侵入したものだ

さらに、巣箱の片付けをしていると、足下の草むらでセミの鳴き声がした。通常の鳴き方とは違って、なにか切迫感がある。草をかき分けてみると、カマキリがアブラゼミを補食していた。セミの断末魔の叫びだったわけだ。こちらのカメラに気づいたカマキリはセミを放して逃げ出した。しばらくしてから戻ると、セミもカマキリも姿がなかったので、あるいはセミは助かったかもしれない。

 
 アブラゼミを補食するカマキリ

巣門に目をやると、何かをくわえたハチが飛び出してきた。重すぎたのか、飛び去ることができず地に落ちた。それでも飛び立とうと枯葉の上で必死でもがいている。よく見れば死んだ幼虫をくわえている。このハチは巣内の掃除をしようとしていたのだ。女王がいなくても、まだ働きバチとしてなすべきことを本能的にしようとしている。健気だ!

 
死んだ幼虫を運ぼうとするハチ

逃去の前日設置したオオスズメバチのトラップはそのままにしてある。最初に囮を2匹置いただけで、なにもしていないが、現状はこうなっている。

 
少なくも5匹はまだ生きている

おおかたのニホンミツバチは去ったが、まだまだ観察することはありそうだ。