2017年12月23日土曜日

サツマイモを蒸かす

干し芋を作るにはサツマイモを蒸して、スライスし、干すという工程を経ることになる。スライスについてはすでに道具を作った。干すのは網戸を洗って流用すればいい。

問題は蒸し器だ。昔、毎年末に餅つきをやっていたころには、竈に掛ける釜と3段の蒸し器があったが、引っ越しのときに町会に寄贈してきてしまった。思いついたのはハチの巣箱。実はハチの巣箱を消毒するため蒸し器のようにして蒸したらどうかと考えていたが、そのまま中に芋を入れれば蒸し器になる。工作精度の問題で巣箱を重ねた場合、段間の隙間が気になるが、まあやってみることにした。


 
水を入れ                      蓋というか蒸し器の底というか

 
巣箱ならぬ蒸し器を置いて               屋根で蓋をする

3段で始めたが、目いっぱいに芋を入れると最上段までは十分蒸気が回りそうもないので2段に変更した。


屋根の隙間から蒸気が噴き出す

11時ころに蒸し始めて延々と薪をくべ続けた。

途中、串を刺して軟らかさを見る

延々4時間蒸し続けた

3時を過ぎて冬の日も傾き、おっとそういえば今日は冬至かなどと思いつつ、時間切れのようなかっこうで蒸かし終わる。

蒸かし芋の皮を剥くというより、軍手でこそぐようにして取り去り、スライサーを通す。果たしてうまく切れるか心配したが、ここは難なく通過。

芋はスイスイとカットできた

ひたすら皮をはいではスライサーを通し、適当な量が溜まると、網戸へ。


右側は芋の皮と傷んでいた芋


スライスはすいすいできたが芋が白っぽい?

もう薄暗くなりかけたころ、やっとスライスした芋を網戸に並べ終わった。


網戸に載せた芋

これを天気を見ながら1週間ほど天日干しする。しかし、残念ながら芋の蒸かしが足りなかったようだ。スライスした芋は白っぽくうっかり持つと割れてしまう。食べるぶんにはホクホクで旨いが、干し芋にするには芋がねっとり粘り気を持つまで蒸さないと。せっかく作ったのだから食べてはみるが、どんなものができるか?

結論からいうと初めての干し芋作りは失敗であった。

失敗の原因は2つ考えられる。ひとつは芋が大きすぎたこと。これは収穫時期を早めて調整するしかないが、来年、こんなに穫れるかどうか。もうひとつは、巣箱の工作精度が足りず、重ねた巣箱の隙間から蒸気が漏れて内部の温度が上がらなかったようだ。これは、なんとか漏れを防ぐ手を考えるしかない。

来季の芋の豊作を願うことにしよう。

2017年12月4日月曜日

サツマイモ・スライサーを作る

ことしはサツマイモが超豊作でとても食べきれない。室内で保存しても1月になると寒さで傷んでしまうから、干し芋にしてみようかと思った。

干し芋を作るための難関は、芋を蒸すことと、蒸し芋を一定の厚さに切ることだ。蒸し芋についてはひとまず置いて、スライスの手立てを調べるとスライサーという武器があることがわかった。たとえば、こんな製品がある。


細いピアノ線を使うことがポイントだが、これなら換骨奪胎で自分でも作れそうだ。ごく簡略化して、2本の枠材を長ネジで200mm間隔に固定しピアノ線を張ることにした。上の製品では長ネジの上に2本の角棒を渡してピアノ線を張っているが、これを省略して直接2本の枠材にピアノ線を張ってしまうことにした。

 
上面に8mm間隔に刻みを入れる            側面に刻みから4mmずらせてネジを打つ

 
1000mmの長ネジを300mmにカット           200mm間隔で枠材を固定

枠材にピアノ線を張って緩みをある程度取る。


ピアノ線の張りを調整

最後はナットをスパナで回して張りを調整する。


サツマイモ・スライサー完成

ピアノ線を張りつめると、2つの枠材がやや内転びになるが、まあ許せる範囲だ。最初、蝶ネジで張りを調整するつもりだったが、きつくて手では回せない。普通のナットでもよかった。

さて、次は芋をどう蒸すかだ。それはまた続く。

2017年11月30日木曜日

巣箱の段数を減らす

これまで1群、2群としていたが、1群なきあと区別する必要もなくなったので、今後はただニホンミツバチ(和バチ)とすることにしよう。

巣内を撮影したところ10月の長雨で個体数の減った群が依然として勢力を回復していないことがわかった。このままでは冬に向かうと巣箱の容積が大きすぎる。現在の5段を3段に減らすことにした。つまり、実質的に巣脾のある最上部2段と最下部の巣門段を残し、3、4段を外すことにする。


最上部2段に巣脾がある

2段を外す簡単な作業で、わざわざ三脚吊り上げ装置を使う必要もないのだが、まだ実戦で使ったことがないので試すことにした。

まずは巣箱を吊り上げるために、締木を上下2箇所に設置するのだが、これが結構手間取った。巣箱の中のハチを脅かさないようになるべく巣箱に振動が伝わらないように、締木の蝶ナットを締めるのがけっこうたいへん。それに、締木に掛けるカラビナが大きすぎてうまくフックを通らない。これはカラビナをちいさなナスカンに交換することで逃げたが、強度にやや不安があり、もう少し工夫する必要がある。


カラビナがフックを通らずナスカンを使う

実際に三脚を設置してみると、ロープの流れが悪く、固定端の位置を直したり、滑車の向きを変えたりする必要も生じた。


現場でロープの流れを調整する

不整地で奥側が傾斜しているので、三脚の吊り上げの滑車が巣箱の真上に来るように調整するのに一苦労した。滑車が巣箱の中心から外れていると、吊り上げたときに巣箱が振れてしまう。


三脚を設置 中心を出すのに一苦労

あれこれ想定外の作業が終わってみれば、巣箱の吊り上げ自体はなんの手間もなくあっけなく終わった。


巣箱を吊り上げる 片手でなんなく上がる

ちょいと拝見

巣箱を下ろす

3段にしてすぐに巣内を撮影してみた。巣箱の取り外し作業は順調に済んだが、ハチたちにとっては大きな変化であったろう。まだ巣の奥に入り込んでいて巣脾が露になっていた。落ち着けば戻ると思われる。


巣門の直上に巣板

ついでに蓋についても、いまはなき1群用に作成したWarre-Heaf方式に差し替える。

 
キルトを載せ                     Warre-Heaf式の屋根を被せる


3段構成へ変更完了

三脚吊り上げ装置は試した甲斐があって、いろいろ得るところがあった。

2017年11月16日木曜日

巣箱吊り上げ三脚(巣箱)

以前、脚立を使った巣箱の吊り上げを試みたことがあった。巣箱の段数が多くなると、脚立はよほどタッパのあるものを使わないと頭がつかえてしまう。それに、足下が平でないと脚立は立てにくい。

そこで、三脚を自分で組むことにした。問題は脚に何を使うかだ。物干し竿や工事現場で使う鉄パイプなどあれこれ漁った結果、農業用ハウスの骨組みに使う直径22.2mmの単管パイプに行き着いた。近くのHCには最短約3.6mのパイプしかないが、これでは長すぎる。そこで、3.6mのパイプ2本を使って、その一端を1/3だけカットして、中ジョイントで繋げば、2.4mのパイプが3本できる。これらの一端を自在クランプ2つで結合すれば三脚ができる。機械的な剛性に弱点はあるが、三脚の開閉を考えれば、そこが逆に利点にもなる。

 
単管の1/3をカット                    在クランプで半固定

この三脚に前回の滑車を流用した吊り上げ装置を着ける。ここで自在クランプの弱点が生きて、三脚の頭部は開閉できる。頭を開いて吊り上げ装置を着け、着け終わったら閉じればいい。

 
吊り上げ装置を着け                  頭部を閉じる 右側のカラビナは固定端


2.4mの三脚と吊り上げ装置

つぎに重箱に積んだ巣箱を安定して吊り上げるために、締め木を作る。径8mmの長ネジ(インチ系)1mをカナノコで半分に切断した。締め付けは蝶ナットを使う。


締め木で巣箱を締め付ける U字の締め木は巣箱の下部をフックの締め木は上部を締める

試しにセイヨウミツバチ用のWarre巣箱5段を吊り上げてみた。


セイヨウミツバチ用のWarre巣箱5段を吊り上げ


右のカラビナは固定端

 
吊り上げロープの動端はインクノットで固定        上の締め木

 
下の締め木 固定端はループ             動端はインクノット

吊り秤があったのでWarre巣箱5段の重量を計ってみた。巣箱の重量が簡単に測れれば採蜜の目安に利用できる。

 
吊り秤で計量                    Warre巣箱5段で約26キロ

この重量でも片手で引き上げることができる。動滑車2個なので吊り上げに必要な力は1/4の6.5キロほどになる。これでニホンミツバチの重箱式巣箱の操作がだいぶ楽になりそうだ。

1群を整理

やはり1群は崩壊した。


クモの巣のようにスムシが巣を広げている

ハチはまだ残っている。可哀想でももうこの先の見込みはない。ハチがすべて姿を消すまで待てば、巣箱はスムシに占拠されて荒廃する。整理するしかない。普通はニホンミツバチに燻煙は使わないが、手早くハチをどけるため燻煙を使用した。


 1番目の巣箱の巣はほとんど空だった


2番目の巣箱にはハチとスムシが混在していた



整理終わり

きれいな巣は溶かして蜜蝋にし、スムシに荒らされた巣は焼却処分する。


隣の2群へ集まった1群のハチたち 運が良ければ2群に受け入れてもらえるだろう

2017年11月5日日曜日

巣箱の蓋を交換(Warre-Heaf式屋根)

これまでニホンミツバチの巣箱の蓋はWarre巣箱のサイズを縮小した「切妻屋根+キルト」を組み合わせたものを使っていた。プロジェクトから預かった巣箱もこれ式の屋根にしようかと思ったが、切妻の工作をするのけっこう手間がかかる。そこで今回は、フランス人のWarreが考案した屋根の部分を、イギリス人の養蜂家のDavid Heafがモディファイした「蓋+キルト」を和バチの巣蓋と交換することにした。この蓋とキルトのセットをWarre-Heaf式屋根とでも呼ぶことにしよう。

木材は12mmの野地板を使い、厚みの必要と思われるキルトと蓋の天井については2重にして24mmとした(野地板の表面は粗いので実質25mm以上になる)。


Warre-Heaf式屋根 内側に打ち付けた角材でキルトと天井の間に空間を作る

オリジナルは蓋の上半は金属薄板で覆い、通気のために各側面に24mm径の穴を開けて内側に防虫ネットを張る。今回使用するのは、通気性のよい杉板であり、金属薄板は使わずに、ポリカの波板を載せるから、穴は省略した。

 
麻布を底に張る                  中にもたっぷり麻布を詰める


右の巣箱の蓋を交換

 
蓋の中はビショビショ               この上にキルトを置く


キルトを置く


蓋を被せる

これにポリカの波板を載せれば完成。

実はこの巣箱のハチは長雨で児捨てを発症し、危殆に瀕している。さらに悪いことに、この時期にオスが生まれているのだ。一番可能性の高いのは女王の事故である。そうなるともう、打つ手がない。

 
児捨て 個体数も激減している           個体数が激減

可哀想だが、おそらくはこの群はこの冬を越せないように思う。