4時ころにはハチは帰巣している | 巣枠のあいだに粉糖を振り入れる |
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粉糖を撒いたら蓋をし巣門も閉じる。そのかん、外へ出ていたハチは巣門へ集中し、巣門が閉じていると知るや、巣門のうえにある網窓の蓋に群がった。おそらく、隙間から巣内の空気が漏れているのだろう。巣門の前にも粉糖を撒いておくと、外のハチも粉糖にまみれる。
少したって蓋を開け、さらに粉糖を撒いて、巣枠に積もった粉糖も刷毛で巣枠間に振り落とす。
巣枠の上の粉糖も刷毛で落とす |
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15分ほど経ったところで、巣箱を持ち上げて底板を掃除する。
底板に落ちた粉糖 |
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掃除した粉糖を発泡スチロールの蓋に受け、室内でバロアの数をカウントした。
粉糖の山をナイフで掻き崩しながらダニを探す |
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粉糖にまみれたバロアは生きていて、活発に動いている。しばらく観測すると、逆さになって足をばたつかせるだけで、めったに起き上がることはない。仰向けであがいているうちに、なにか手掛かりにあると、それにしがみつくだけだ。自分から脚を使って長い距離を移動することはない。というかできないようだ。
バロアは通常有蓋巣房内で生活しているが、その巣房の蛹が羽化して蓋が開いたときだけ外に出る。出た瞬間に、周囲を移動する働きバチに取り付いて、次の住まい(つまり、蓋が閉まる直前の巣房)まで移動し、そこで落下する。この状態のバロアをヒッチハイク・ダニ(phoretic (hitchhiking) mites)と呼ぶこともある。そのためか、自ら方向性をもって長い距離を移動するという動作はDNAに組み込まれていないのではないか。
バロアをカウントするため一カ所に集めて、数えやすいように列に分けておいた。翌日に見ると、その列はわずかにくずれていたが、バロアが別の場所に移動した形跡はなかった。一晩おいても、少し刺激すればたちまち脚をばたつかせるので、死んだわけではない。
この状況からすると、粉糖処置で底に落ちたバロアは、そのまま放置すれば、巣底をあるく働きバチに取り付いてもとの状態に復してしまうだろう。
バロアをカウント 約150匹 |
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翌日になってもバロアの活力はとくに衰えを見せなかった。
春先から夏へかけての建勢でハチの数は急激に増加する。しかし、バロアの増加はそれに輪を掛けた速度で増加するというデータが出ている。だから、春先にバロアの個体数があるレベルを超えていると、ハチは負けてしまいコロニーは崩壊するのだ。この時期にバロアを叩いておくことは重要な意味がある。