2018年8月30日木曜日

ヤマザクラ群の盛上げ巣

ヤマザクラ群が盛上げ巣を作っている。

普通、巣箱を増設するときは下へ継箱を置く。それがハチたちが巣を拡張するときの自然のやり方だからだ。だが、あえて上に継箱をすることもある。そうすると、多くの場合、継箱の上から巣脾を作らず、下の巣箱の上桟の上に新しい巣を盛り上げてゆき、貯蜜専用の巣脾として使う。それを「盛上げ巣」と呼ぶ。

盛上げ巣には卵や幼虫が居ない。採蜜すると純度の高いきれいなミツが取れるので、養蜂巧者のベテランのハチ飼いに好まれる。ただ、よほどの強群でないと盛上げ巣は大きく成長しないというのが定説だ。

残念ながら、ヤマザクラ群は、コナラ群の旧女王が分封して入居したものと思われ、現在のコナラ群やカキノキ群に比べてハチの数が少なく、群勢もいまいちである。盛上げ巣は作ってもミツの収穫はあまり期待できない。

 
盛上げ巣が古い巣脾と癒着              左写真の癒着を切り離したら奥にも癒着が

ヤマザクラ群は巣枠式への移行を試みたが、その後、断念した経緯がある。その際、元の巣で伸びすぎた巣脾の上側の有蓋貯蜜巣房の部分だけをカットして、新しい巣箱の最上段へ移動した。上の写真右に見える黄色の巣脾はその名残だ。既成の巣脾があるので、それを伸ばすことを期待したのだが、ハチたちは盛上げ巣を作り、移動した巣脾はまったく伸びていない。ところが、今日、一番奥まで内検したところ、一番奥の上桟に新しい巣脾が作られていた。ハチたちは両面作戦を採っていたのだ。

 
癒着を分離した盛上げ巣と新しい巣脾

さてどう管理したものか悩ましいが、盛上げ巣と旧巣脾が癒着するというのは最悪なので、今後は、旧巣脾の着いた上桟はすべて回収し、新しい空の上桟を入れてみようと思う。その結果がどうなるかは、まったく予想がつかない…………

2018年8月19日日曜日

スライド丸鋸

これまで2年半ほど巣箱作りに丸鋸を使ってきて、木材を正しい位置で一直線的に切断することがいかに難しいかを知った。70代なかばともなると、重量3キロの機械を木材の応力に逆らって片手で正確に運動させることがなかなかの課題となる。とくに視力の劣化から、木材に対して正確に刃先を当てることがこれまたすんなりとはいかない。

この先何年使えるつもりか?という陰口も聞こえなくはないが、ついに登場願ったのがスライド丸鋸だ。スライド丸鋸の説明を読むと、位置調整の時間と丸鋸を操作する労力が大幅に節減できそうなのである。

DIYグレードのスライド丸鋸をあれこれ調べたが、結局、機械精度で定評の日立工機製を選んだ。手持ちの丸鋸はマキタ製だが、いくらDIY向けとはいえいささか不満だったこともある。日立工機は、この6月から社名が工機ホールディングスに変り、ブランド名も10月以降は「HiKOKI(ハイコーキ)」となるそうである。調べている途中で急に表示が変わったので驚いた。

さっそく取扱説明書を片手に組み立ててみる。といっても取説の日本語を理解するのに時間がかかるが、組み立てるというほどの手間ではない。

 
スライド丸鋸到着                   さっそく組み立て

試しに巣箱の部材8枚をカットしてみた。

 
巣箱用部材8枚

いやあ簡単、迅速、正確!!! それに丸鋸を手で操作するよりはるかに安全性も高い。まるでメーカーのCMになってしまうが、実感としてそうなのだ。もちろん、その前に丸鋸の操作でいささかの苦労を経験しているからではあろうが、早くこれを導入すればよかったと思う。

 
上桟用を掛けるアゴをカット

 
仮組み立て

 
部材の反りを矯める

いままで部材の反りなど直したことはなかったが、これだけきれいにカットできると反りも直してみたい気分になった。ははは。

2018年8月18日土曜日

オオスズメバチに備える

お盆を過ぎればそろそろオオスズメバチの備えをしなければならない。今年は連休のころに巨大な女王を一度見たくらいか。いつもなら、そのころに果汁トラップを仕掛けるのだが、今年はしなかった。一匹で巣作り・子育てをスタートする女王をその時期に仕留めることが効果的なことはわかる。が、どうにも気が引けるのだ。今年はオオスズメバチの姿をほとんど見かけなかった。

当方で採っているオオスズメバチ対策は、粘着トラップとトリカルネット防御網との2本立て。

これまで、粘着ネズミ捕りをそのままトラップに使っていたが、本来用途が違うから、そのまま使うのが最適とも限らない。今年は、半サイズの粘着トラップの置台を作ってみた。

ポリカの庇いの下に粘着トラップを置く 右は従来の全ザイズ

ネズミ捕り用の粘着トラップを開いて庇いの下に置き、これを巣箱の上に載せておく。庇いは落ち葉の付着を防ぐため。巣箱はいずれも木の下あるので、これがないと、オオスズメバチより先に木の葉が粘着面を埋めてしまう。まず囮のオオスズメバチを捕獲して、最初の一匹を置かないと、このトラップは機能しない。

防御網は7mmメッシュのトリカルネットで巣門面全体で覆う。

 
防御網は7mmメッシュのトリカルネットN-24

ネット情報では、トリカルネットがオオスズメバチに食い破られたという事例(or 噂)を散見するが、トリカルネットの強度によるものと思われる。これまでの経験では、写真のようにN-24(幅3mm、厚み2.3mm)くらいの強度があれば、飼い主が対処できないほと短時間に突破されるとは考えにくい。

オオスズメバチは、単独で飛来したときは巣門の周りでハチを1匹ずつ捕獲して自巣へ運び去る。しかし、この巣をいったん自群のターゲットと定めると、巣門をフェロモンでマーキングし、複数で来襲して総攻撃を仕掛ける。この状態になると、ミツバチの巣は彼女らのテリトリーと認識されているので、人が近づくと危険だ。

セイヨウミツバチが相手だと、すべてのミツバチを抹殺してから、おもむろに巣門を齧り開けて、巣内のすべてのミツと幼虫を強奪する。

ニホンミツバチはオオスズメバチが来襲すると、巣内に逼塞して巣門からの出入りを止める。さらに、攻撃が長期化すれば、巣を放棄して逃去してしまう。飼い主としては、攻撃ポイントを巣門に絞らせることは避けたいので、和バチが自由に出入りできオオスズメバチは侵入できない防御網で巣門面全体を覆っておく。
 粘着トラップと防御網を設置

まずはコナラ群に全サイズの粘着トラップと防御網を設置した。居間から目の届くカキノキ群、ヤマザクラ群はオオスズメバチのアタックが始まってから設置することにしよう。

2018年8月10日金曜日

ヘリの遭難とガラン沢

志賀の横手山付近でヘリが遭難したことをあちこちのニュースで伝えていた。遭難場所はガラン(伽藍)沢の近くではないかという。この名前は聞き覚えがあった。

草津温泉のスキーで、たぶん唯一のツアールートが、芳ヶ平ツアーコースだ。白根山北東の芳ヶ平から沢通しに草津スキー場へ下る。沢通しの登山道を滑り降りるだけだから、面白いはずもないが、一度は経験しておこうと仲間と2人で滑ったことがある。

そのころ、このツアールートを調べているときに出くわしたのがガラン沢だった。なんだか遭難の多い、おどろおどろしい沢という印象があった。

 
山紫水明より

懐かしかったので調べてみると、この沢は、遭難の多さから「魔の沢」「人喰い沢」などとも呼ばれていたらしい。沢登りのコースでもあったが、遭難が多かったのはスキーヤーだった。当時、まだゲレンデが未整備で、横手山や渋峠あたりのゲレンデからガラン沢へ迷い込む遭難者が多かったという。いまではゲレンデが整備されスキーの遭難者はいないようだ。芳ヶ平のツアーコースからは、尾根を一本隔てた北側になるので迷い込む心配はなさそうである。

ヘリの遭難のおかげで、ガラン沢の印象はがらっと変わった。