2018年9月25日火曜日

アナフィラキシー

先日、ニホンミツバチに刺されてアナフィラキシーとおぼしき症状になったのでメモしておこう。

ハチを飼いだしてからほぼ3年。セイヨウミツバチとニホンミツバチに幾度となく刺された。子供の頃には庭や野原で遊んでいてアシナガバチに刺されることは珍しくなかった。なのでハチ刺され自体にあまり抵抗感がない(もちろん好きじゃないよ)。昔のことでぼんやりと思い出すだけだが、ミツバチに刺されるよりアシナガのほうは痛かった気がする。ミツバチの場合、体格に応じて刺したときに射出するハチ毒の量が多くなるから、洋バチのほうが刺されると痛い。

いずれにしても刺されれば、しばらくは痛くて、じょじょに患部が腫れてくる。しばらくすると痛みより痒みを強く感じるようになり、数日すれば何事もなかったようにもとの状態に戻る。ハチの毒を免疫治療に使うこともあるから悪いことばかりではない。

洋バチより和バチははるかに性質が温和で人を刺すことはほとんどない。だから日頃、和バチの世話は素手、素面で、手袋や面布は着けない。ハチたちが機嫌の悪いときは近づかなければいい。

その日はカキノキ群の2段目の内検をしていた。巣門側の上桟2本を上桟掛けに出してスペースを確保し、残りの上桟をひとつずつ引き出して巣脾の具合を見ていた。上桟の下面に形成された巣脾にミツが貯まっているから、それなりの重みがある。8本ある上桟の6本目を持ち上げると、何の荷重もなく上桟だけが出てきた。スターターの三角柱が上桟から外れて巣内に落下していのだ。上桟と三角柱はグルー(ボンド)ガンで接着してあるが圧着が甘かったのだろう。

 
三角柱が落下していた(矢印の先) その下に巣脾が着いている

 
上桟と三角柱のスターター            巣枠ホルダ

ちょいと焦ったので、これから先は写真を撮る余裕がなかった。

はてどうするか?

この状況でボンドで接着するのは無理だから針金で縛ることにした。

落ちた三角柱を巣脾が剥がれないように取出して作業場へ移動し、そこで巣脾に針金を通し、上桟に固定するのだ。落ちた三角柱を取りだすために、最近入手した巣枠ホルダーを使った。送料込み数百円で中国から直送してくるやつだ。いくら簡単な装置とはいえ何でそんな値段で儲けがでるのだろう?

巣枠ホルダで三角柱を掴んで、ハチがいっぱいうごめいている巣脾が剥がれないように(巣脾の底が下段の上桟に癒着しているかも)そーっと引き上げる。穏やかにという意識がホルダを握る力を緩るませたのか、途中、三角柱がツルっと滑って残りの上桟の上に落ちた。コツンという音とともに、驚いたハチたちが一斉に飛び立ち、攻撃モードで当方の顔を襲った。こちらもハッとして、動作をフリーズしたが、ときすでに遅し。左の眉にハチが張り付いた感触の直後に痛みが走った。ハチの巣は開きっぱなしだが、こうなれば治療が先だ。作業場から自室に戻って、まず薬箱からステロイド軟膏を探す。次に親指と人差し指で患部を挟むようにして毒針を押出し、軟膏を塗った。

この辺りから普通のハチ刺されと症状が異ってきた。体が震え顔は紅潮し、顔はまだ腫れていないのに、刺されてもしない両の手が赤く腫れ上がった。それに咳が出てとまらない。これはアナフィラキシー・ショックに違いない。はじめての経験で驚いたが、それ以上悪化するという感じはまったくしなかった。しばし、様子を見たが意識への影響もなさそうだったので修復作業を続けた。

 
修復した上桟だけ色が違う

顔の紅潮や手の腫れは2時間ほどで収まったが、顔の腫れがどんどんひどくなった。当日の夜は、痛みというより患部の発熱と痒みでほとんど寝付けず、朝方にまどろんだ程度。翌日は顔の左半分は腫れ上がって左瞼が開かなくなりお岩さん状態となる。それでも午後から腫れは引き出したが、痒みは依然として残った。3日目には顔の腫れはまだ残っているが、患部の違和感はほとんどなくなる。よそ目にわからなくなるまで4日ほどかかったろうか。

数えきれないほどハチには刺されているのに、なぜ今回に限ってアナフィラキシーとおぼしき症状が出たのか謎だ。次回刺されたときにどういう症状がでるかも気になる。しかし、これは別にハチが悪いわけではないので、今後ともハチとの付き合い方を変える気持ちはない。