2016年1月18日月曜日

シュウ酸処置の根拠

EPA(アメリカ環境保護局)がバロア対策としてのシュウ酸処置を推奨しているのは、晩秋から早春の有蓋蜂児のもっとも少ない期間である。その理由は、バロアのライフサイクルにある。(『Final Registration Decision for Oxalic Acid』の「Application Methods and Labeling」)

パーデュー大学の市民講座『PARASITIC MITES OF HONEY BEES』のバロアの「Life cycle」によると、こうだ。
バロアのメスはハチの身体に付着して移動し、蓋が閉まる直前の巣房を見つけてその中に潜り込む。蓋の閉まった巣の中でメスは蛹の餌として蓄えられている溶液を摂取して生活し、1匹のオスと4匹程度のメスを産卵する。巣房のなかでこれらの卵が孵って成長して交尾が終わったころに蓋が開き、成熟したメスダニは巣房外のハチの成虫に付着して巣の中へ拡散する。バロアのライフサクルはこの繰返しになる。
冬季は女王が産卵を止めるので、巣から出だダニが棲み処を失う。それによって、バロワの数は冬を越すあいだに自然にコントロールされる仕組みになっている。(今年のように暖冬で女王が産卵を継続するとバロアも温存され、春以降、爆発的に増殖する可能性がある。)

シュウ酸処置が晩秋から早春が適期とされるのは、棲み場を失って彷徨するバロアを直撃できるからである。

冬季でオス蜂の幼虫はほぼいないとして、働きバチの蛹の期間は12日だから、女王を12日間隔離しておけば、有蓋蜂児のいない条件は満たされる。これまで当方が12日おきにシュウ酸を処置したのは、これが根拠だった。しかし、今年は女王の産卵が止まっているように見えないので、あまり意味がない。ぽり、ぽり。

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