2016年1月24日日曜日

シュウ酸溶液の濃度計算

シュウ酸濃度の計算

バロア対策としてのシュウ酸滴下法で使うシュウ酸溶液の作り方は、Randy Oliver氏の「ScientificBeekeeping.com 科学的養蜂」のサイトにある「シュウ酸処置表」(仮にオリバー表とする)を使用した。

確認のためにシュウ酸濃度(W:V%)を自分で計算してみたところ、だいぶ手こずったので、手順を記録しておく。

W:VのWはシュウ酸重量(g)、Vは水に砂糖を重量比1:1で溶かした液体の体積(ml)だ。

注意する点が2つある。
  • 表に示すシュウ酸の重量は一般的に入手できる二水和物の重量で表示してある。分子量の比(90.03:126.07)から二水和物中の純シュウ酸の重量比を計算すると71.4%になる。濃度計算には二水和物の重量を純粋のシュウ酸に換算した値をWとして使用する。(製品にはシュウ酸と水以外の不純物があるはずだが無視。)なお、オリバー氏のサイトでは、文中でこの比率を70%(7/10)と記しているカ所がある。
  • シュウ酸滴下法で使う溶液は水と砂糖を重量比1:1で混ぜる。この溶液の体積Vは水より増えるはずだが、これは計算ではだせない(理論的な算出方法はあるかもしれないが、知らない)。オリバー表で水1000mlを使う場合の数値を見ると、Vは水の体積の1.62倍になっているのでこの値を使うことにする。(実際には砂糖の製法で変わるはずで、正確を期すなら製品ごとにメスシリンダーで量るべきだろう。さらにいえば、水と砂糖の量に対してこの倍率が定数とみなせるのかも不明だが実用的には問題ないのだろう。)
つまり、「シュウ酸処置表」の濃度W:V%を自分で計算する場合、使用するシュウ酸重量を0.714倍し、溶液の体積(シュウ酸による増分は無視)を水の1.62倍としてW:V%を計算する。

ある体積の水(ml)に同量の砂糖(g)を溶かし、そこにある重量のシュウ酸(g)を溶かした場合、その溶液のシュウ酸濃度(V:W%)は、次式となる。

シュウ酸濃度 = (シュウ酸重量*71.4)/(水の体積*1.62)

オリバー表と計算値(括弧内)を比較してみた。

          溶液のシュウ酸濃度とシュウ酸二水和物の重量
                       4.2%           3.2%               2.5%
    16.2ml        1(0.95)       0.75(0.73)     0.6(0.57)
1000   ml      60(58.8)     45(44.8)        35(35.01)
1620   ml    100(95.28)   75(72.59)      60(56.71)

オリバー表は数値がきれいに揃っているが、実際に使いやすいように適当に丸めたのではないか。条件が大雑把だから細かい誤差はでるが計算式もまあまあ使えそうだ。

蜂場でシュウ酸を処置する場合は、たとえば、標準的な10枠サイズのラングストロース式巣箱で飼っているセイヨウミツバチのコロニーだとすれば、どのくらいの濃度で、どのくらいのシュウ酸溶液を処置すればいいかを知りたいはずだ。

これについては、「シュウ酸溶液の濃度と処置量」で取り上げる。

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