2016年1月28日木曜日

No title

Warre巣箱がほぼ完成した。

木材をどうするか一番悩んだところだが、山口の「ゆのき農林業」がヤフオクに出しているショップを見つけた。ここは、ミツバチの巣箱用にさまざまな木材を出品している。Warre巣箱は標準的には20mm厚の木材で作るが、35mm厚で用意できるか寸法を書いて問い合わせてみたところ、素早い応答があった。手元に用材があったので、切ってみたという。え! まだ注文すると決めていないのに切っちゃったって? 実際、ヤフオクのサイトを見ると、写真入りでもうオークションに出ていたのだ。これには驚いた。うれしい愕きってやつだ。もちろん早速落札した。

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35mm厚で内側が300mm四方になる寸法の杉材

慣れないトリマーの設定に苦労しながら、上桟を掛ける顎を切削する。

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トリマーで上桟を掛ける顎を切削する10x10mmの顎

顎ができたら箱を組み立てる。ただネジ止めするだけだが、ここで板の裏表に注意する必要がある。これは、京都ニホンミツバチ週末養蜂会のサイトで知ったのだが、材の芯側を箱の外側にすると木の反りを少なくできるのだそうだ。

顎に上桟の間隔に合わせて真鍮の釘を打ち、釘の頭をニッパーでカットする。上桟の両端中央を切り欠き、そこに釘を通す。釘により上桟の位置が決まる。これはヘフがYouTubeで紹介している手法だ。

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上桟の間隔に合わせて真鍮の釘を打つ釘の頭をカット

24x9mmの上桟を8本、各巣箱に差し渡す。ラングストロース式巣箱などのような巣枠や巣脾を使わず、上桟だけでハチの巣作りを誘導する養蜂を「トップ・バー式」と総称している。もちろんWarreはトップ・バーの一員である。

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24x9mmの上桟8本

上桟の材はあまりが出るので、それを相欠きで接いでムダにしない。

箱と上桟ができると、あとは土台となる底板と巣門、それに上部を覆う屋根だ。

まずは、底板と巣門。底板は21mm厚の板を使った。幅24mmでは足りないので木工ボンドで貼り合わせる。巣門にはだいぶ苦労した。Warreのオリジナルサイズだと、開口部が広くなりすぎる。海外ではいざしらず、日本ではオオスズメバチなどの襲撃に対してあまりに無防備になる。ここは、巣門の奥の斜路の上端と巣箱の前面の板の間に8mmのスペースが空くようにカットした。材の末端からではなく、途中から切り始めるので、一苦労である。まあ、ひどいできだが、なんとかできた。

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21mm厚で240mm幅の板を貼り合わせる巣門の部分

巣箱の最上段には「キルト」を置く。キルトは巣箱にぴったりと乗るサイズの木のマスで、その底に布を張り、上端は解放されている。そこへ木くずやワラなどの断熱・吸湿材を入た座布団のようなものを入れる。ふつうキルトは、羽毛などのキルティングに使う縫製品のことだが、Warreではクッションのような意味で使っている(キルトの写真は後出)。

さらにキルトの上に切妻の屋根を掛ける。これは日光の直射や降水の直撃を防ぐためだ。この屋根が、不器用な素人細工には難関であった。

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材を切りそろえる屋根を掛ける前 上面に見えるのは中蓋

試行錯誤でためらい傷だらけのありさまだが、なんとか切妻屋根ができあがった。

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なんとか組み上がる屋根と中蓋の間は吹き抜け

さて、組み合わせてみよう。底板を置き、巣箱を積み重ねる。底板は巣箱の外側から2mmほど小さくなっている。これはWarreのアイデアで、降水が巣箱内に入り込まないための工夫だ。

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底板と離着板巣箱を積む

底板の上に巣箱を重ねる。このあたりは、ニホンミツバチの重箱式とまったく同じ。なお、巣箱にまだ把手を取り付けていない。今回、巣箱は4つ作ったので、それをすべて重ね、最上段の巣箱の上にキルトを置く。

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巣箱4つの上にキルト

キルトの上から屋根を被せる。屋根の中蓋がキルトの上に載って、屋根の裾の部分は巣箱の上端を覆うことになる。

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Warre式巣箱

まだ、台座やキルトの中身はできていないが、これでほぼWarre巣箱が完成した。

なんでわざわざ面倒な切妻屋根にするのか?  これについては議論があり、ヘフもWarreの改良版としてフラットな屋根の巣箱を試みている。最初は当方もそう思ったのだが、まずはオリジナルに忠実に作ってみた。

今後、いまラングストロース式巣箱で育てている5枠のコロニーを、Warre式巣箱へ引っ越しさせる作業が必要になる。その場合、みつばちプロジェクトの先輩から頂戴した8枠の巣箱が活躍する予定だ。それについては、また別に取り上げよう。

追記
偶然、まったく同じ方法でラ式→Warre式の移行をすでに実践しているサイト「Warre Hive へ移行」があった。

2 件のコメント:

hau さんのコメント...

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��なんでわざわざ面倒な切妻屋根にするのか?
一口に言えば、その地域性と気候によるもので、それに応じてWarre養蜂飼育の方法も違ってくることになるということでしょう。
これについては、アッベエミール Warre著書「Beekeeping for All」で述べています。
現時代でも8本のトップバー式(原則的に)にすること、巣箱内容量がほぼ一定化すること、これにはWarre自身が350Hive試作して辿り着いた、自然巣を観察し尽して到達した普遍的な結論に至る、深い・深い意味があると思います。

ojer さんのコメント...

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hauさま
「Beekeeping for All」が原典であることはもとより承知していますが、現代的な解釈という観点から、わたしは原典の英訳者のひとりでありWarre Beekeepingにも深く関与していると思われるDavid Heafの解説に共感を覚えています。
切妻については、当初、Warre BeekeepingにあるDavid Heafの改良型巣箱が採用しているフラットな屋根が合理的だと思いました。しかし、この改造へのコメントとして「霰などのときに発生する騒音」がハチに強いストレスになるのではないかという指摘に、斜めの屋根の意味づけを理解したわけです。
また、巣箱の容積などについては、資料の紹介でも記したように、Warreの原典よりも、同じくHeafの『Towards Sustainable Beekeeping Part 2」にある「Thermal and hygrological issues – 3. The hive body」が当方にとっては納得の行く説明でした。